引きずり体質

外はどんどん春めいて来て、出不精な私でさえも「どこかに行きたい」と
思う。この落ち着かないご時世、遠出をする気にはなれず、せいぜい、友人と
心置きなくあってしゃべりたいと思うのだが、実現はいつのことやら。
感染者数も下がって来てはいるので、そんなに悲観しなくてもいいとも
思うが、どうにも気持ちが上がってこない。

 やはり、彼の手に指輪が光る写真なんかを見つけてしまったからだろう。
どっぷりと今は涙にくれていたいのだ。先日見かけたのは、年下男性との
別れは「逃した魚は大きい」と思ってしまうから、痛手が大きいのだという説明。
なるほど。まさしく私もそう考えている。先々のことを考えれば、彼が
ずっと側にいてくれる心強さを失った訳で、ついつい「もっとこうすれば良かった」と
繰り言ばかりが出てくる。

 

立ち直ったと思ったのに

 ここに来るのは久しぶり。ずいぶん辛そうだったんだな私。
どうにかこうにかやり過ごして、もう立ち直ったと思っていましたが、
最近、奴のSNSのプロフィール写真が更新されていて、左手には指輪が。

際限なく落ち込んでしまった。しかもいい笑顔。こんな笑顔って
見たことあったかな?フラれた相手のプロフィールをチェックして、
自ら落ち込むとは愚の骨頂。でもやってしまいたくなる。
人間ですから。

そこまで切り替えられないのです。
この写真の笑顔は、私に向けてるのね、と思いたかった。
幸せ一杯の顔して、本当にうれしそう。

そんな風に今笑えているのはいいことなんだよ。
私は全く笑えないけど。
「(新しい彼女とは)付き合ってみないと分からない」とか、
「愛せるか分からない」とか宣った君。
あっという間の婚約・結婚ですか。やる気のある男は違うね。
そんなに結婚したかったんだ。そんなに家庭を持ちたかったんだね。

これが、私と一緒だったらどうだったんだろう。分かりません。
そんなこと考えてはいけない、そう言い聞かせる今日この頃です。


【映画】『ストーリー・オブ・マイ・ライフ 私の若草物語』

遅まきながら、上映最終日に駆け込みで
『ストーリー・オブ・マイ・ライフ~私の若草物語』を鑑賞。


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ルイザ・メイ・オルコットが書いた「若草物語」は、私がいまさら
どうこう言うまでもない、名作中の名作。
とくれば、映画化されるのも無理はなく、今回が三度目。
三回目ともなれば、何か新機軸が欲しいところ。テレビ版の『アンと
いう名の少女』や、時代設定を現代に移した『レ・ミゼラブル』
にミュージカルの『ロミオトジュリエット』などはその好例だと思う。
そして、本作は過去の二作をはるかにしのぐ、素晴らしい作品だった。

一言で言えば、女性の自立がテーマ。女性が労働で対価を得ることが
難しかった時代、男性に頼らずお金を何とか稼ごうと奮闘する、
マーチ家の次女・ジョーを中心に、おなじみのエピソードが展開する。

新機軸その一 従来なら作品の展開通りに映画も進んでいたのを、
構成を組み替えることで、四姉妹のそれぞれの性格を重層的に描い
ているところ。例えば、過去二作品は、マーチ家のクリスマスから
始まっていたが、本作では、ジョーが自分の小説を出版社に売り込
みに行くところから始まる。
これだけでも、ずいぶん思い切ったオープニングだなと思った。

新機軸その二 村岡花子の翻訳で読んだが、登場人物のセリフがお
そらく元のままで使われているところ。地の文をうまくセリフに
焼き直しているところ。一番良かったと思ったのは、姉妹とローリー
が使う郵便箱の下り。あそこは、原作は地の文だったのをすべて
ジョー(だったかな?)のセリフで語らせていて、映画の後半まで
郵便箱の重要性を見ている側に印象付けている。

新機軸その三 一家の困ったちゃんだったエイミーに、思慮と分別
を与えることで、性格に深みが増した点。単なるわがままで贅沢好
きではなく、当時の女性にできる、最も賢いやり方で一家を支えよ
うと決意をするのだが、そんなやり方も有りだと、ジョーと対立す
るかのような価値観をも存在させたこと。
だって、人それぞれですものね。
過去の二作品はエイミーの性格付けが足りず、どうしても損な役回り
だったが、本作では、ジョーに次ぐ重要な役周りで、
新鮮な印象となった。

新機軸その四 マーチ夫人も、過去の作品とは一味違う。強いて
言えば、1994年版に似ているような気がするが、夫に対する愛情
や、不満までも描いてより深く性格が掘り下げられている。
原作にもある、「ずっと怒りを抱いていた」というセリフを言わせ
たいがための性格設定にも思える。

新機軸その五 終盤で、ジョーはオルコットに切り替わる。
出版社との折衝で、彼女は著作権の大切さを知ることとなる。
著作権を確保して経済的にも自由を得る。そんなオルコットの
勝利の瞬間まで「若草物語」の枠に入れこんだところが、一番の
キモかと思う。


ジョー役のシアーシャ・ローナンは、本作の監督グレタ・ガーヴィクと
「レディー・バード」に次いでタッグ。「つぐない」で初めて見たと
きから、どんどん成長していって、この先どんな俳優になるのか
本当に楽しみ。
そして、エイミー役のエリザベス・ピュー。ハスキーな低音に、
ふてぶてしさと、初々しさが表裏一体で、彼女を見ているのが楽しかった。
「ミッド・サマー」は未見だが、がぜん気になる俳優。

単なる焼き直しではない、新しい解釈とはこうするのだという
お手本のような作品。

映画『終着駅』原題」Terminal Station

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1953年 米・伊作品  90分

概要:既婚で幼い娘がいるアメリカ夫人が、イタリアのローマで
青年と出会って恋に落ちる。二人で暮らそうと一度は約束するが、
夫と娘を捨てることはできず、何も言わずに国へ戻ろうとする。
青年は駅まで追いかけてきて、彼女の気持ちを変えようと・・・


cinema神戸にて朝一回だけの上映を観に行ってきた。
今はデジタル・リマスターのおかげで、クラシック映画をきれい
に見直せるのがありがたい。

【作品について】*結末に触れています。

年上の既婚女性と、旅先で知り合った青年との恋愛。
一緒になるか、このまま別れるかという点にフォーカスして、
現実の時間経過と作品中の時間をシンクロさせた、緊張感に
満ちた作品。
 
 そもそも、ジェニファー・ジョーンズを見せる映画なので、
どうしても彼女の立場に立って観てしまうのだが、つい最近
自分に起こったことを考え合わせると、この映画は、青年の目に
宿っていた何かが死ぬまでを描いているのだなと思いなおした。
 言ってしまえば、外国からやってきた、夫も娘もいる
女性に振り回されて、警察の厄介にまでなり、挙句の果てに
ホームに投げ捨てられてしまう。その最後に彼女の姿は
スクリーンに映らず、もぬけの殻となった青年が歩いていく
姿を我々も傍観するだけという、残酷な結末だ。
 映画製作者は、悩みに悩みぬく彼女を、只ひたすら美しく
描きたかったのだろうが、監督と、モンティのおかげで、
単なるロマンティックな映画に終わらせず、青年の夢が
終わっていくさまも描いたというのは、考えすぎだろうか?

主人公二人とは全く関係のない、背景として出てくる
通行人や、妙に絡んでくる色男や、子だくさんの夫婦、
いつも集団行動をしている聖職者なども、曰くありげで
面白い。

 この青年を演じたモンティは、なぜかいつも貧乏クジを
ひいてしまう役どころで、魅力が花開くのはなぜだろう?
華のある俳優でありながら、どこか影を感じさせる
本人自身が、そういった役を引き寄せてしまったのかも
しれない。

 

10月になったというのに

 このところ、少し慌ただしかったせいか、それとも
単なるものぐさのせいか、ブログがご無沙汰になって
しまった。
 9月最後の投稿は、なかなか心落ち着かない話だった
が、それは10月になったところで変わらず、たまには
全く考えないでいられることもあるのに、ふとした拍子
に思い出してしまうと、今度はとめどもなく考え込んで
しまう。何か他のことをしなくてはと思って、簡単に
できることはといえば、現実逃避の映画鑑賞。
 そんなわけで、昨日はパルシネマで『ラスト・ディール
美術商と名前を失くした肖像』と『こころに剣士を』
の二本立て。映画館で映画を見ることの一番の利点は
二時間たっぷり集中できること。そして、周りにいる
誰知らない方々と時間を共有できること。映画館に通う
理由は大きくこの二つだと思っている。
 映画については後日又。

堂々巡り

 年下男性から振られた余波はまだまだ大きく、何かの折に考
え出すと止まらなくなってしまう。

目覚め前に考え出して眠れず、かといって起きられずといった
状態はだいぶ少なくなってきたが、手持無沙汰の時間があると
ついつい考えてしまう。単調な仕事をしている時や、テレビを
漫然と観ている時が一番良くないような気がする。集中していた
り、人と話している時は何とか考えないで済むのでありがたい。
 もっと外にでて、人と話すべきかもしれない。

 考えるのは、もっと私が早くに行動を起こして、彼を日本に
呼び寄せていたらどうだったかという一点だ。
 書類仕事は手間がかかるが、相手が取るべき書類は大筋のとこ
ろで分かっていたので、取得に問題はなかったはず。日本で
必要な書類と役所仕事が厄介だが、行政書士に相談するなり、
あるいは自分たちで何とかするにしても、方法はあっただろう。
 一番気になっているのは、なぜ私に結婚を申し込んだかだ。
生活が面白くないときに、私なら申し込んでも断らないだろう
と思った。案の定、尻尾を振って飛びついてきた。結婚すれば
日本で働けるというのが目論見だったかも知れない。
 残念ながら、年齢差が大きい場合、配偶者ビザが下りる可能性
は少なく、降りるまでには時間が必要であろう。私がそれを
知ったのは、ビザについて調べ始めてすぐのことだった。
だから、いわゆる留学ビザで日本語学校に通い、日本の生活様式
に慣れ、その間に配偶者ビザを取得する方法を考えてはどうかと
言ったのだが、どうも気に食わなかったらしい。逆に、
彼の知り合いやツテをたどって、日本の暮らしや仕事を聞いてみ
てはどうかとも言った。日頃人付きあいの広さを豪語する割には、
そのような人を知らなったらしい。そんな話をやり取りしている
うちに、「いつこっちに来る?」と言ってきた。確かに、一度顔
を観て話をするべきだと思っていたので、「できれば行くつもり」
とは答えていたのだが、航空券が思うように見つけられないうちに
父の病気が発覚し動きが取れなくなってしまった。
 その後は、看病(と言ってもそばにいるだけだったが)、
COVID-19、車上荒らしでお金がないと、悪い流れが続き、
今に至っている。
 どの時点で、彼をつなぎ留められたのだろう。私は最初から
結婚なんて無理と思っていたのではないか。早く行動していたら。
と、もう何百回となく考えたことを、気が付けば際限なく始めている。

かなり疲れてきた。

映画『スキャンダル』原題:BOMBSHELL

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【基本情報】
上映時間:109分
製作国: カナダ アメリカ
製作年度:2019年
上映館:パルシネマ

【概要】アメリカ4大ネットワークのFOXニュースで
起こった、セクシャル・ハラスメント問題をドラマ化。
やり手キャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)、
かつての勢いが消えかかっているグレッチェン・カールソン
(ニコール・キッドマン)、そして、これからテレビ界で
キャリアを築いていきたいケイラ・ポスピシル(マーゴット・
ロビー)。この三人がそれぞれ抱えるセクシャル・ハラスメントに
どう立ち向かうか。

ジェイ・ローチ監督作品というよりは、シャーリーズ・セロン
製作映画といった方が通りがよさそうな気がする。というのも、
実話のドラマ化、それもかなりデリケートな問題を扱っている
せいか、製作までの道のりは二転、三転したらしく、セロン自身の
献身がなければ陽の目を見なかったようだ。
 
【ネタバレあり】
 本編の主人公メーガンは野心満々の上昇志向あふれる女性。一方の
訴訟を起こすグレッチェンも彼女と同様に男性社会でのしてきたと
自負する一方、ハラスメントを受け入れなかったので仕事を干され
てしまう。
 こういった話では、「それは実力がなかったから干されただけ」
とか、「あなたが勘違いさせたのではないか」といった問題のすり
替えが行われてきた。そして、本人自身も「そうかもしれない」と
自分のせいにしてしまいがちなところだ。しかし、この手の問題は
男女で違いがあるわけではなく、力のあるものがそれをちらつかせ
ながら、立場の弱い人間に対して、意に反することを強要する点だ。
 誰だって、お金の心配などせずに好きな仕事・好きなことに打ち
込みたい。自分の求めるものに正直でありたい。それは男女に関係
ない。なのに、それを餌にして「私のいうことを聞けばやらせてや
る」と言って、不本意なことを強要するのは嫌がらせに他ならない。
 本編の女性たちは、みなそれなりに野心家で、それを隠さない。
だからこそ、セクシャル・ハラスメントを受けていたと公に認める
ことが、自分の弱さを認めることと同義になってしまい、連帯して
声を上げることができなくなってしまっている。
 その突破口となるのが、作品オリジナルの人物であるケイラだ。
彼女は自分が何をされたのか、野心をかなえるために何を犠牲にし
て、どんなに傷ついたのかを自問自答し、証人になる決意をし、
会社を去る。

 序盤、メーガンがテレビ局を紹介していくあたりの畳みかけるよ
うなテンポが心地よく、シリアスなテーマを扱う映画の入り口を下
げて、早く次を知りたいという好奇心を刺激する。話が進むに連れ、
主人公たるメーガンがどんな決断を下すのかに集中させる、メリハ
リの利いた演出となっている。
 グレッチェンは200万ドルという賠償金と謝罪を受け入れる
代わりに、この件に関しては何もしゃべらないという結果に落ち着
くが、その余波は大きく、単に一企業のハラスメント訴訟に終わら
ず、その後の#ME TOO運動の前日譚ともいえる、意義あるもの
だった。

 原題のBOMBSHELLは、爆弾と、グラマー女性といった意味合いの
掛け言葉なので、邦題ももう少しひねって欲しかったところ。
だからと言って、「こんなのどうでしょう?」と差し出せないのが
辛いところ。









一日に四本立て

 映画はもっぱら二本立て派だ。お小遣いの
問題もあるが、落ち着いた映画館で思う存分
その世界観に浸れるのがうれしいからだ。

 そんなわけで、今日見た映画は
『1917 命をかけた伝令』
『彼らは生きていた』
『九人の翻訳家 囚われたベストセラー』
『スキャンダル』

の豪華四本立て。
 感想などは後日。

ネタバレの是非

 まだ観たり読んだりしていない作品について、
他人はどこまで言及していいのか?
 本ブログでも、これから内容について触れる
前にできるだけ「ネタバレ」の文言を置くように
している。
 しかしながら、私自身はいわゆる「ネタバレ」
被害に多くあってきた。
 映画に興味の出てきた子供時代、(おそらく
10歳前後だったと思う)母親から「この映画は
とても面白いのよ」という枕詞で何回その憂き目に
あってきたことか。
最大のネタバレは「太陽がいっぱい」。本編を見る
前に最初から最後までストーリーを全部聞かされていた。
持てる者と持たざる者が交わることで引き起こされる
苦い青春映画(今からみると、登場人物は20代前半
の設定だと思うが、なんと老成していることか)。
 「風と共に去りぬ」「ウエストサイド物語」も
同じ罰ゲームを食らった映画だ。しかし、古典的名作
なので、遅かれ早かれ本編を見る前にあらすじを知って
しまう可能性は高かっただろう。だからと言って、
「サウンド・オブ・ミュージック」のあらすじを教えるの
は微妙な気がする。
 母が、「スティング」を観ていなかったのは不幸中の
幸いだ。

雑記:テレビ離れ

 ただいまビデオが壊れてしまったので、テレビの時間
が大幅に減った。ビデオを買い替えるか、それとも、ケー
ブルテレビに加入してしまうか?
そこで、まずは自分がどんな契約をしているのか確かめ
てみたのだが、これが煩雑極まりなし。
私の契約は、回線使用料+プロバイダー料の二本立て。
これに、スマホ代だの固定電話だのがかかってくる。
 固定費を節約!と意気込んだものの、どこをどう見れば
いいのか分からず、料金を見るだけで手間取ってしまった。
 ケーブルテレビの見積もりを依頼中だが、いかんせん
このご時世では、連絡がそもそもつかない状態。
 やはり、インターネットをもう少しすっきりさせて、
テレビで動画配信サービスを利用しつつ、ビデオを買い替
えるのが堅実かもしれない。

 見たいテレビ番組が見られないので、仕方なしに通常の
番組を見るのだが、食指の湧くものがない。観たいものは
仕事をしている昼間か、寝ている真夜中。ゴールデンタイム
はバラエティ番組かスポーツ中継で、私の趣味には合わない。
 そういえば、先日NHKで再放送の「映像の世紀プレミアム 
第3集 世界を変えた女たち」は良かった。途中からだったが
結局最後まで見てしまった。例えば、ココ・シャネルや、
ジャクリーン・ケネディ、アンネ・フランクにヘレン・ケラー
といった著名人の話も、少し本流とは外れたところが切り口
となっていた。初耳だったのは、ヘレン・ケラーと女性参政権
運動。「子供向けのヘレン・ケラーの伝記を読んで、三重苦にも
関らず当時の女性としては最高の教育を受け、慈善活動に
熱心だった。」という程度にしか知らなかったので、社会運動家、
それもかなり急進的な活動家出会ったことは、知らなかった。
彼女の人生のごく初期を描いた、「奇跡の人」があまりにも
有名過ぎて、その後の人生のほうがよほど長いにもかかわらず、
何をした人なのか今一つ分からないままでいた。戦争に反対し、
女性参政権運動などの社会活動の結果FBIの監視対象になってい
たことに衝撃を受けた。
 そして、著名な方々の話ももちろん素晴らしいが、いわゆる
普通の人々の暮らしを、女性の社会参加という点で掘り下げた
映像が又良かった。同じNHKで放映された、英国製ドラマ
『刑事フォイル』の中で、戦時中は軍需工場で活躍した女性が、
終戦に伴い復員してきた男性に仕事を取られてしまうという
エピソードがあった。(事件に絡んでいたか、記憶がない)
又、『戦争は女の顔をしていない』からの引用が効果的で、
気になっていた本であるだけに、早く入手しなければ
という気持ちになった。


ビデオが壊れた?

 あれこれとテレビドラマを録画しているが、ついにビデオの
ハードディスクがダメになった模様。
 一か月くらい前から、録画画面がかなり乱れることが多く
なり、最後まで録画できなかったこともしばしば。それでも
何とか頑張ってくれていたのだが、つい昨日、私の酷使に耐え
かねて、沈黙してしまった。
 新しいのを急いで買うか、この際ケーブルテレビを契約して、
CS番組も楽しめるようにするか? 見られるチャンネルが増えた
ところで、いつ見るのかという問題があるし、なければないで、
心穏やかに過ごせるのではないかとも思う。
 今日は電機屋に行って、値段を確認してきたが決算セールと
やらで結構お得な様子。
 もう、思い切って買っちゃおうかな?

ドラマ『オスマン帝国外伝シーズン3 愛と欲望のハレム』 続3

 まだまだ続く、『オスマン帝国外伝』。
ネタバレも引き続き。

 【女性の世界】
 サブタイトルにもある、「ハレム」とは後宮のことで、
女性ばかりの社会に男性は皇帝ただ一人。つまるところは、
跡継ぎ製造工場と言える。オスマン帝国の正統性を
担保するためには男性は一人でなければならず、一方、育てる
側は人材を数多く用意することで、生まれてくる子供の
量を担保すると思っていたが、米原万理さんの著書
『米原万理の「愛の法則」』によれば、男性は「量を追及しな
がら質を担う」という一説があった。どういうことか?
仮に100頭の水牛を飼育できる牧場があったとして、オス・メスの
比率をどうするか?子牛をたくさん育てたければ、オス一頭・メス
九十九頭が良い。では優秀な子牛が欲しいときは?それはメス一頭に
オス九十九頭。なぜかというと、オス一頭だけだと、何かの拍子で
全滅する可能性がある。オスの数を多くするとオスの中で競争が生ま
れて優秀なオスが残り、結果的に子牛も優秀になるからだ。
 では、本作に当てはめてみるとどうなるか?
ただ一人の男性である皇帝は、すでに質を担保された人材と考えられる。
すなわち、皇帝になるまでに幾多の競争を勝ち抜いてきた優秀な人材
だからこそ、皇帝になれたのだ。スレイマンの場合は、父セリム一世の
基盤が盤石ではなく、スレイマンが必ず皇帝になれるかは未知数の部分
があった。だから、スレイマン自身も、皇帝にふさわしい人物になろう
と非常に努力をしたはず。つまり質は十分担保されている。
そして、後宮における優秀な女性とは、若くて健康というのが第一条
件だろう。その分子供を産み育てられる確率が高いからだ。
 こうして考えてみると、質が保証された一人の男性の寵愛を巡って、
優秀な人材である女性がしのぎをけずれば、質のいい次世代の人物を
多く手に入れることとなる。
 とはいえ、女性には非常に負担の高い生活ぶりで、仮にこの世界に
住まなければならないとしたら、胃潰瘍で半年も持たないかもしれない。

 ヒュッレム自身も、その非人間性に気が付いたようで、話数は忘れ
たが、新しい側女に熱を上げるスレイマンを見て、マヒデブランがど
んな気持ちでヒュッレムを見ていたか気が付くという場面があった。
マヒデブランに向かって「今なら理解できる」と伝えるが、時すでに
遅し。この気持ちは伝わらず、対立関係はさらに激化していく。
 そう、人間あまりに激しく対立しすぎると、相手の声など全く聞こえ
なくなり、どんな真実であっても認めることができなくなってしまう。
 マヒデブランはまさに、後宮システムにからめとられた犠牲者であ
り、それを自力でこじ開けようとしたヒュッレムを認められなくなっ
てしまったのだ。

【ムスタファ皇子】

 親子そろって、女にだらしがない。とくにムスタファの場合は若さゆ
えの焦りから、色々と問題を起こして、結果的に父親の不興を買うとい
う悪循環に陥っている。
 シーズン2では愛する側女が、ヒュッレムの手先だったし、シーズン
3の冒頭は、そんな過去がありながら、村の少女にちょっかいを出す。
これが元で、スレイマンは大激怒。少女にとっては辛い宮廷生活。
ついでに最初はマヒデブランの手駒だったはずのディアナがファーリエ
と名前を変えて、いつの間にかヒュッレム側に取り込まれる遠因を作っ
た。(このデイァナ=ファーリエは、非常に優秀な刺客であり、マヒデ
ブランの信頼も篤かったのに。)
 父に勝るとも劣らない優秀な息子なのに、母親とその仲間に足を
引っ張られて、やることなすこと裏目に出てしまうかわいそうな人物。
 時代とはいえ、一人の女性を大切にしきれないところが彼の最大の
弱点だ。

ムスタファ皇子を演じている俳優さんは、当初はショッキングなまで
に若作りだったが、役柄が追い付いてきたのか、本人の実力か、
どんどん素敵な皇子になってきた。
私の一押しはマルコチョールだが、ムスタファも捨てがたい。
 ムスタファ皇子の笑顔は非常に少ないので、ご本人の笑顔ショット
を載せて、今日のところはお開きとする。

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ドラマ『オスマン帝国外伝 愛と欲望のハレム シーズン3』続き

 
 昨日の続きから。ネタバレありです。

【フィルーゼ】
 ヒュッレム抵抗勢力によって送り込まれた最終兵器。
過去にも、皇帝を篭絡するべく数々の側女が送り、送られ
てきたが、このフィルーゼは一味違う。
 船に乗ってイスタンブルに連れてこられ、自己最大の
敵の手によって宮廷に導かれる。まるでヒュッレムの過去を
なぞるように現れた彼女は、じつはペルシャ人で、大きな
密命をもってやってきた、いわば潜入スパイ。
 単に、密命があるだけでなく、病人を癒す不思議なハンド
パワーの持ち主でもあり、遠ざけたいと思っていても、
その力に頼らざるを得ない状況も生まれて、単なる敵とは
言い切れない複雑な人物。この性格付けが非常に効果的で、
後宮をめぐる権謀術数の幅が広がったと思う。
 結局のところ、後宮を追われることとなるのだが、最後に
もう一つ何かやってくれそうで、そのまま幕引きとなって
しまったのが残念。ペルシャに帰って幸せになれたのであろうか?

【ジハンギル皇子】
 本シーズン最初はまだ赤ちゃんだったのに、どんどんと
成長していって、節目ごとに演じる子役が又可愛らしい。
彼は1531年生まれとされているので、シーズン3は
この前後にはじまり、ムスタファ皇子がマニサで病に
倒れてしまう1542年ごろまでが主な期間と考えられる。
となると、ジハンギル皇子も最後に姿を現した頃が
10歳位。お兄さんのメフメット皇子がアマスヤに赴任するに
あたって、下調べをしてあげるほど、頭脳明晰な少年に育って、
本当にうれしい。


【リュステム・パシャ】
シーズン3を通して、陰に日向に活躍したのは、リュステムであった。
大宰相イブラヒムと同様に、厩番からたたき上げの苦労人なだけ
あって、一筋縄ではいかない。
野望が顔に張り付いたような人物として、後ろ暗いことも躊躇なく
やってのける割には、ミフリマーフ皇女には一途な愛を捧げるところ
など、意外にもロマンチストな側面も持っている。
 蓄財に長けた人物というのが、後世の評価だが、それにふさわしく
小金をがっちり貯めこんだのに、ニギャールに持ち逃げされるという
失態も犯すなど、このころの彼は脇の甘いところも見受けられる。
とはいえ、のちの大宰相に躍り出るのは間違いないので、シーズン4
で、どんな悪辣の限りを尽くして上り詰めるのかが見どころの一つ。
 彼の名前を冠したモスクが、エジプシャン・バザールの近くに
あるが、入り口が分かりにくく、外観が非常に地味。しかし、中は
貴重なイズニックタイルがふんだんに使われており、本作ファンの
皆様には是非とも訪れてほしい場所の一つ。
 
まだまだ続く。


 
 

ドラマ『オスマン帝国外伝 愛と欲望のハレム3』原題:Muhtesem Yüzyil

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ドラマ『オスマン帝国外伝 愛と欲望のハレム3』を完走。
オリジナルは46話のようだが、一話の尺を半分に分けて
92話となった模様。

スレイマン1世を巡る物語もピークを迎えたシーズン3。
そう、ドラマ紹介のビジュアルをご覧頂ければ一目瞭然。
決してヒュッレムが主役ではない。

ドラマの内外の話題が盛り沢山。
にもかかわらず、話の展開がシーズン1,2よりも引き締まって
いて(それでも92話)、力技があってもそれなりに納得のいく
展開だった。例えばシーズン1のヒュッレムの元カレの話は
収拾がつかなくなった感じだし、シーズン2のイザベラの扱いは
雑。マルコチョールのストーカーまがいの恋愛は、ひたすら
ファンサービスという感じで、見ている方は面白いが、ストーリー
展開からすると、あそこまで引っ張らなくても良かった。

それはさておき、登場人物との付き合いも長くなってくると、もはや
自分の知り合いか友達くらいの感覚が産まれてくるので、歴史ものは
一年で主人公の一生がおしまいなんて言わずに、このくらいじっくりと
見せて頂きたいものだ。

【以下ネタバレあり】
本シーズンは長い付き合いの登場人物一掃セールの趣がある。
その筆頭はやはりヒュッレム妃。彼女の場合は、役者都合による
フェードアウトからのあっと驚く交代劇と相成った。
力業ではあるが、製作者側からすれば、何とか落としどころを見つけた
という気持ちで一杯であろう。ストーリーは正直言って無茶振りの
連続であるが、残された俳優陣も一体になって作り上げたと
感じられて、本当に皆様お疲れ様と言いたい。

【シャー皇女】
シーズン3で新しくお目見えしたのは、シャー・スルタン。
名前からして何かやってくれそうだし、赤いドレスがよくお似合いであった。
シャーという名の人物は赤が似合う。
 スレイマンには一体何人の兄弟姉妹がいたのか?即位当時に兄弟は
いなかったため、後継者問題は起こらなかったとされている。
では姉妹は一体何人?
おそらく、スレイマンと母を同じくする姉妹と、そうでない姉妹が
いたはずで、そのあたりがドラマの中で描かれていると、シャーと
ハティジェの折り合いがこうも悪いという背景になって、より説得力
が増したのではないかと思う。
 それはさておき、シーズン3で登場したシャーが3人目の姉妹。
ちなみにシーズン4では最後の一人が登場するらしいので、都合4人
姉妹だったことに。この姉妹たちが、ヒュッレムの抵抗勢力なので、
兄者人としてのスレイマンの悩みの種は尽きない。
 シャー様(「様」と呼びたくなる)は、登場直後は気さくな人物
として、ヒュッレムでさえ心を開こうとするのだが、実はだれよりも
皇族としてのプライドが高く、奴隷あがりの兄嫁など全く歯牙に掛け
ないし、すべての人間は自分に仕えて当然という態度を最後まで崩さ
ない。とはいえ、皇女という立場では本来好きな人と一緒になること
など許されるはずもなく、それゆえ、恋を成就させたハティジェが許
せなかったのかも知れない。
 そうそう、スレイマンからは「お前が一番母上に似ている」という
セリフがあったので、少なくともスレイマンとは母が同じ模様。
 そんな気位の高いシャー様ではあるが、最後は仇敵の娘ミフリマーフ
に追い落とされるというどんでん返しの寂しい退場となってしまった。

【メルジャン】
 シャー皇女付きの宦官。インパクトのあるルックスで、長らく後宮
の水をすすってきたスンビュルでさえも一目置く人物。シャー様への
忠誠は絶対であり、彼女の引きで宦官長に上り詰めた後も、シャー様命
であり、スレイマンは彼にとってナンバー2に過ぎなかった。
シャー様が「メルジャナー」と呼ぶと、うれしくって尻尾をふる
子犬のようで(ものの例え。子犬というにはなりが大きすぎる)、
シャー様付から内廷の宦官長に出世した時でさえ、本当はシャー様の
そばは離れたくなかった。何を要求されても100%期待に応える
メルジャンは、本作を通してかなり仕事のできる男であった。
 シーズン4には続投するのであろうか?IMDbの出演エピソード数
からすると望めなさそうだ。

【アフィフェ】
スレイマンの乳母。スレイマンも頭が上がらないアフィフェ・ハートゥン
は、当初ヒュッレム抵抗勢力の一員であったが、ヒュッレムがいかに
スレイマンを愛しているかを知るに及んで寝返ってしまった。
やはりわが子を真剣に愛していると分かれば、かわいい嫁として守って
やらねばという気持ちになったのか。だからと言って、シャー様や
ハティジェに対しても敵対するのではなく、できれば仲良くしてほしい
という気持ちを随所に表す、作品中の公正な秤とでもいう立場。
仕事には厳しく、人には愛情を。こんな上司が会社にいてほしいと
私は思う。

続きは後程。










映画『ナイブズ・アウト』原題:Knives Out

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映画『ナイブズ・アウト』を鑑賞

上映時間:130分
制作国:アメリカ合衆国
上映館:シネマ神戸

 有名推理作家の85歳の誕生日に、家族一同が集まる。
翌朝、その作家は死体となって発見される。当初は
自殺かとも思われたが、高名な私立探偵が捜査に乗り出して
きて、事態は意外な方向へと・・・

 クリスティを思わせる作劇でありながら、どこかとぼけた
味わいの登場人物たち。いつもはギラギラで野心満々のダニエル・
クレイグが探偵となって、事件を解決する。
 最初はてっきりイギリスの田園が背景かと思いきや、アメリカが
舞台。広大なお屋敷の作りも面白く、どうやって犯人を追い詰める
のか、倒叙物のようでいて、正統派謎解き映画だった。

 詳しく書いてしまうと、本編の結末に触れてしまいそうで恐ろしい
のだが、決してシリアス一辺倒ではなく、コメディで通しているのが、
後口のよさにつながっている。
 それに、結末を導く行動論理が「やさしさ」であるのが
一番良かったところ。
 普通、愛憎のもつれだの、金の恨みだのと、負の要因が犯罪の
要因で、それを暴くのが推理の目的のようになってしまいがちだ。
しかし、本作では、「やさしさ」が身の潔白を証明し、正直さに救わ
れるという、非常に心穏やかになれる犯罪推理物に仕上げたのが
新味だと思う。

 随所に遊び心があふれていて、あの超有名テレビドラマのセットを
頂いたとすぐわかる物(これ以上書けない)など、楽しく撮ったなと
感じる、久しぶりの佳作だった。

映画『母との約束 250通の手紙』原題:LA PROMESSE DE L’AUBE

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 『母との約束 250通の手紙』を鑑賞

【鑑賞データ】
2017年 フランス・ベルギー作品
上映時間:131分 R15+
上映館:パルシネマ

フランスの文豪、ロマン・ガリの伝記映画。
ロマン・ガリの作品は読んだことがない。というか
不勉強のため、その存在を知りませんでした。
二度のゴングール賞を受賞、外交官としてのキャリ
ア、ジーン・セバーグの夫という華麗な経歴の持ち
主の、波乱に満ちた半生を描く。
 今風にいうなら「毒親」とでもいうのか、強烈な
母親に育てられて、ただひたすらに母の望みをかなえる
ために人生を邁進していく。こんな風に毎日一緒に
暮していたら、どうにかなってしまいそうだが、主人公は
決して母親を捨てることはない。それはあまりに過酷な
世界をこの二人切りの親子で乗り切るために必要なことであり、
これなくしては、生きていけないほどに現実は辛かったの
だと思う。
 このすごすぎる母親を演じるのはシャルロット・ゲンズブール。
『なまいきシャルロット』も時を経て肝っ玉母さんを
演じるようになるとは、月日の経つのは本当に早いもの。
東欧訛りのあるフランス語の他に、ポーランド語のセリフなど、
テクニックも色々と必要な役柄を、どこか楽しそうに演じて
いるのを見ると、すっかり俳優として足場を固めているのだと
思える。
 
 少なからぬ個人的な経験からすると、男性は母親の何かしらの
希望の投影を感じ取って、それを満たすために奔走する
ようだ。特に日本以外の国で顕著に思えるのだが、私自身の
サンプルの持ち合わせが少ないので、これは単なる印象に過ぎない。
 



映画 『シュヴァルの理想宮』 原題:L'Incroyable histoire du Facteur Cheval

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 パルシネマさんにて、『シュバルの理想宮』を鑑賞。
フランス南東部ドローム県オートリーブに実在する、
手作りの宮殿。それを一人で作り上げたシュバルの人生を
描いていく。
 思い描く自らの理想を投影した宮殿作りに没頭するのだが、
例えば人付き合などはほとんど顧みないでいる。郵便配達の
仕事は実直に行うのだが、それ以外はすべて宮殿作りに
ささげている。こんな人と付き合っていくのはなかなかに
骨が折れると思うが、それも最大の理解者である妻との出会い
があってこそ。(少なくとも映画では)。
そして、人間嫌いのように思える彼の心を開いたのは、最愛の
娘アリス。自分の子供とどう接すればいいか分からなかった彼が、
次第に距離を縮めていくのを見ると、人から信頼されて、そして
相手を信じることの大切さが身に染みる。
 宮殿の完成途上には悲劇が起こるが、それだけではなく、
思いがけない贈り物もあり、彼の人生はこの宮殿と共に徐々に
完成を果たしていく。
 ドキュメンタリーをみているような、それでいて、物語の
面白さが入り混じった不思議な味わい。

 監督はニルス・タヴェルニエ。『田舎の日曜日』の監督、
ベルトラン・タヴェルニエの息子。だからどうって訳では
ないが、それでも光線の具合や、映像から想像される香りに
何となく共通するなつかしさのようなものを感じた。
思い過ごしかもしれませんけど。

身勝手

 「あの頃に戻れたら」と強く思う。
プロポーズされて、舞い上がっていたころ。
ビザをどうしたらいいか分からず悩んでいた頃。
建設的な話し合いができた頃。
 ずっと前から、難しい問題には目をつむり、
楽しいことだけを考えていた。誰かが解決して
くれるのではないかと思いながら。

 現実はそうはいかない。自分から動いて、ぶつ
かって行かなくては。理由を付けてはやらなかった
のだから、こんな結果になってしまっても仕方ない。

 身勝手を承知で言えば、彼にだって非はある。
前に日本に遊びに来たとき、どうやらそのお金の
出所はお兄さんのお財布のようだった。
 最近では、車上荒らしにあって、お兄さんのお金
を盗まれたという話があった。貸してくれないかと
言う。出せない額ではなかった。お兄さんはお金を
取り戻す。私は、彼がお兄さんからもらう給料
から返してもらう。割り切れない気がするのは
私の頭がおかしいのか?

 日本で働くにはビザがいる。配偶者ビザが一番
早いが、私たちのような場合はかなり難しい。
なにより、一度日本に来る必要がある。仕事も
どうやって探せばいいのか?だったら、日本語学校
に半年でも通ってその傍ら、アルバイトをしながら
お金を稼ぐという、よくあるパターンもあり得ると
思った。しかし、それについてはあまり気のりのない
返事。勉強が嫌なのか、語学学校の費用が出ないのか?

何にしても、費用が掛かることには何となく及び腰な
態度が腑に落ちなかった。

 彼からすれば同じ言葉を返すだろう。
これから一緒の人生を過ごすのに、それくらいのお金を
なぜ出せない?と。

 おごるとか、プレゼントするとか、そんなたわいも
ない話ではない。お財布に関する価値観は、一致していた
ほうがいい。

よく考えてみると

 インスタを覗いてみると、私のフォローが外されていて、
彼のページが非公開となっていた。反射的にフォローリクエスト
を送ってしまった。
 リクエストは受け入れられなかった。

もう、徹底して彼は私のことを締め出すんだと思い知らされた。
「たまにはテキスト送っていいか」と聞いた時に、「新しいガール
フレンドを悲しませたくない」と言った。聞けば、彼の国の女性は
大変嫉妬深いとか。そして人のスマホに掛かってきた電話にでたり、
テキストを読んだりするらしい。確かに、通知に女性のアイコンが
出てきたら嫌なんだろう。しかし、そこまで気にするのだろうか?
あるいは、人のスマホをどうして見るのか?ありえない。思えば、
偶然フォローを押しただけの男性フォロワーに対して、「なんで
この人知ってるの?」と聞かれたことがあった。おすすめとか、
いろいろ入ってくるから、知らないうちにボタンを押してしまう
事もあるのに。
 こんなことを思い出すと、悲しむ前になんだか笑えて来る。
そして、彼が気の毒になる。
 そう、私は彼との結婚を望んでいなかったのではないかと、
思い始めている。
 若い男性が私に結婚まで申し込んでくれた。やきもちを
焼かれた。私からのテキストはあまりしないけど、向こうから来
たら即返す。そんな駆け引きを楽しみたかっただけかもしれない。
そんな状態で一年も宙ぶらりんにさせられたら、彼も嫌気が
差すと思う。確かに気の毒だ。