【映画】『ストーリー・オブ・マイ・ライフ 私の若草物語』

遅まきながら、上映最終日に駆け込みで
『ストーリー・オブ・マイ・ライフ~私の若草物語』を鑑賞。


MV5BY2QzYTQyYzItMzAwYi00YjZlLThjNTUtNzMyMDdkYzJiNWM4XkEyXkFqcGdeQXVyMTkxNjUyNQ@@._V1_UX100_CR0,0,100,100_AL_.jpg

ルイザ・メイ・オルコットが書いた「若草物語」は、私がいまさら
どうこう言うまでもない、名作中の名作。
とくれば、映画化されるのも無理はなく、今回が三度目。
三回目ともなれば、何か新機軸が欲しいところ。テレビ版の『アンと
いう名の少女』や、時代設定を現代に移した『レ・ミゼラブル』
にミュージカルの『ロミオトジュリエット』などはその好例だと思う。
そして、本作は過去の二作をはるかにしのぐ、素晴らしい作品だった。

一言で言えば、女性の自立がテーマ。女性が労働で対価を得ることが
難しかった時代、男性に頼らずお金を何とか稼ごうと奮闘する、
マーチ家の次女・ジョーを中心に、おなじみのエピソードが展開する。

新機軸その一 従来なら作品の展開通りに映画も進んでいたのを、
構成を組み替えることで、四姉妹のそれぞれの性格を重層的に描い
ているところ。例えば、過去二作品は、マーチ家のクリスマスから
始まっていたが、本作では、ジョーが自分の小説を出版社に売り込
みに行くところから始まる。
これだけでも、ずいぶん思い切ったオープニングだなと思った。

新機軸その二 村岡花子の翻訳で読んだが、登場人物のセリフがお
そらく元のままで使われているところ。地の文をうまくセリフに
焼き直しているところ。一番良かったと思ったのは、姉妹とローリー
が使う郵便箱の下り。あそこは、原作は地の文だったのをすべて
ジョー(だったかな?)のセリフで語らせていて、映画の後半まで
郵便箱の重要性を見ている側に印象付けている。

新機軸その三 一家の困ったちゃんだったエイミーに、思慮と分別
を与えることで、性格に深みが増した点。単なるわがままで贅沢好
きではなく、当時の女性にできる、最も賢いやり方で一家を支えよ
うと決意をするのだが、そんなやり方も有りだと、ジョーと対立す
るかのような価値観をも存在させたこと。
だって、人それぞれですものね。
過去の二作品はエイミーの性格付けが足りず、どうしても損な役回り
だったが、本作では、ジョーに次ぐ重要な役周りで、
新鮮な印象となった。

新機軸その四 マーチ夫人も、過去の作品とは一味違う。強いて
言えば、1994年版に似ているような気がするが、夫に対する愛情
や、不満までも描いてより深く性格が掘り下げられている。
原作にもある、「ずっと怒りを抱いていた」というセリフを言わせ
たいがための性格設定にも思える。

新機軸その五 終盤で、ジョーはオルコットに切り替わる。
出版社との折衝で、彼女は著作権の大切さを知ることとなる。
著作権を確保して経済的にも自由を得る。そんなオルコットの
勝利の瞬間まで「若草物語」の枠に入れこんだところが、一番の
キモかと思う。


ジョー役のシアーシャ・ローナンは、本作の監督グレタ・ガーヴィクと
「レディー・バード」に次いでタッグ。「つぐない」で初めて見たと
きから、どんどん成長していって、この先どんな俳優になるのか
本当に楽しみ。
そして、エイミー役のエリザベス・ピュー。ハスキーな低音に、
ふてぶてしさと、初々しさが表裏一体で、彼女を見ているのが楽しかった。
「ミッド・サマー」は未見だが、がぜん気になる俳優。

単なる焼き直しではない、新しい解釈とはこうするのだという
お手本のような作品。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント